祇園祭り ~屏風祭り~
祇園祭が近づいてまいりました。京都では祇園祭宵山の期間、各山鉾町の旧家や老舗などが町家の格子越しや格子をはずし、家々に伝わる屏風など美術品を宵山見物の人々に公開します。これが屏風祭りと言われる所以です。町衆の教養と財力の証しである国宝級の美術品を見ることのできる年に一度のチャンス。屏風祭りをひかえ、弊社におきましても、店内に狩野永納作の屏風を展示致しております。是非、ご覧くださいませ。
六曲一双の曽我物語図屏風では富士巻狩図と夜討図が一隻づつ描かれるのが定型だが、本作品では富士巻狩図だけが六曲一双に描かれている。右隻には狩りを見つめる頼朝一行、大猪に逆乗りする新田忠網、左隻には落馬する曽我十郎などが描かれるので本作品が曽我物語を画題としていることは疑いない。なお、富士巻狩図は月次風俗図屏風(東京国立博物館)の中にも存在するので、室町時代には成立していた画題である。画面には「狩野一陽齋永納」の款があるから本作品は永納の晩年作だと分かるが、丁寧に描かれた作品である。ただ、人物の顔貌など詳細に見てゆくと永納以外の画家の手が入っていることが分かる。この点には注意したい。
(特別展 『狩野 永納』 より 抜粋)
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